開道50年を迎えたこの年、札幌では北海道博覧会が華々しく開催された。街路に初の路面電車が走り、商店街や百貨店に庶民が詰めかけるなど、札幌の街は新たな時代を迎えていました。
その年、初代社長・須貝富安の父で、須貝興行の創始者である須貝富蔵は、SDエンターテイメントの原点となる実演劇場「札幌館(のちの札幌劇場)」を設立します。(注1)
当時は畳敷きの芝居小屋で、地回りの歌舞伎や新派の人情物などを上演。また、公民館のような公共の劇場施設がまだない時代のため、選挙の演説会など公的な行事にも利用されていました。
興行の手腕に長けた富蔵は、札幌館設立の10年後に劇場を新築。同時に、小樽や函館など道内の主要都市にも劇場を設立し、経営規模を拡大していきます。
このほか、富蔵は道内を巡業する歌舞や浪曲、歌謡大会などの興行業務も手がけ、さらに、相撲の勧進元として札幌場所を主催し、祭典興行やサーカスの興行を取り仕切るなど、北海道興行界の大立者の一人となっていきます。
(注1)映画上映に対して、実演は舞台で演じたり歌ったりすることを指す。